Interview with Tokyo Kissa Club

Interview with Tokyo Kissa Club

Interview with Tokyo Kissa Club

Release Date: Jan 30, 2018

まずはじめに、喫茶店とはどういうものですか?

・オリジナリティがある
「同じ世界観」で数多くの店舗を展開するチェーン店や、「最近のトレンド」をおさえた新しいお店にはない、その喫茶店独自のオリジナリティがにじみ出ているところが最高です。独特のデザインのお店のロゴがコースターやマッチに入っていたりすると、すごくうれしくなります。また、その街にも付随するところがあり、地名+店名で完成されるような、街にひっそりと佇み、その街の人のための場所であるところだと思います。

・古い
喫茶店は、古いお店が多いです。古くからあるということは、それだけ長い間お客さんに愛されてきたということ。つぶれずにサバイブしてきた強さや魅力がそれぞれのお店にあるのだと思います。

・タバコが吸える
空前の禁煙ブームの中、喫茶店はまだタバコが吸えるところが多いです。自分自身はもう吸わなくなったけれど、喫煙者だったころは本当にオアシスの様でした。懐の広さというか、どんな人も受け入れる間口の広さも、喫茶店の魅力だと思います。

・コーヒー
各喫茶店それぞれの思いやこだわりで淹れるコーヒーは、ある意味その喫茶店の代名詞とも言えます。できれば、その店で焙煎した豆で出してもらえると、なおうれしいですね!

・喫茶時間
時代をタイムスリップできたり、流れる時間が他とは違うと思います。特に東京の喫茶店は、雑踏の街中にあっても、ゆったりとゆっくりと過ごせる貴重な場所。周囲が変わっていってもずっと変わらないし、一人でも友人とでも居心地よく過ごせる場所だと思います。

なぜ、東京喫茶倶楽部を始めることにしたのですか?

喫茶店が好きだったので、仕事で上京した東京の喫茶店の情報が集まる場所があるといいな、と思ったからです。大学の先輩後輩である耕平と磨理絵が、本郷の「名曲喫茶 麦」で久しぶりに再会したときに結成しました。東京の喫茶店をスタンプラリーのように巡って、行った場所をマッピングするInstagram を作ろう、と意気投合したのがはじまりです。そこに昨年、磨理絵の幼馴染の実希が参加して現在、部員は3名。個々に活動中です。

現在、何店舗くらいの喫茶店を紹介していますか?

150店くらいです。

一番よく行く喫茶店と、なぜそこによく行くのかの理由を教えてください。

(耕平 kohei)

京都の「進々堂 京大北門前」。
大学生の頃にアルバイトをしていたから。パリのカルチェ・ラタンの様なカフェを日本に作りたい、という創業者が85年以上前に開店したらしいと聞きました。人間国宝の黒田辰秋さんが手がけた、どっしりとした長テーブルと長椅子が特徴的です。その名の通り京都大学のすぐ前にあり、学生だけでなく教授らしきお客さんも多かったですね。店内はBGMが一切かかっておらず(そもそもそういう音響設備もなかった)、お客さん同士の会話と、食器の音だけ。お客さんが少ない朝の時間は本当に静かで、その雰囲気も好きでした。(アルバイトをしていた私を含め)店員はお客様に対してはっきりと距離を取っていたと思います。来店時、席を案内する時、注文を受ける時、コーヒーを運ぶ時、水を替える時、会計時や退店時に最低限必要な言葉をかけるだけで。当時は、それが少し寂しい気もしたけれど、それぐらいの距離感がちょうどいいのかもしれないですね。

※東京の喫茶店なら、新宿の「らんぶる」が好きです(特に地下が)。

(磨理絵 marie)

京都の「スマートコーヒー」。
きちんとお店で焙煎された豆で淹れられているコーヒーの安心感。そしてホットケーキや、サンドイッチといった軽食もきちんと美味しく、お店のサイズ感、内装の程よいクラシカルさ、清潔感、ロゴの可愛さも素晴らしいと思います。お店のスタッフも、とてもきめ細やかな気配りがきいている気がします。それはどうやらオーナーさんの意向らしく、お客さんとお店とスタッフの出す雰囲気全てがまあるく噛み合って、スマートコーヒーらしい雰囲気を作っているそう。出来合いのホットケーキをレンジでチンして出す喫茶店がたまにあるが、きちんと一枚一枚焼いて提供してくれるところも好きです。スマートコーヒーに行く日は、行く前から絶対にいい時間が過ごせることがわかっているので、胸が高鳴ります。立地もよいため関西に帰った時、京都在住の友人との待ち合わせによく使っています。

東京の喫茶店なら「エース」。真面目すぎる店内のサインがいちいち可愛く、にやけてしまいます。鉛筆の下書きの後もうっすら見えて、それがまたよいですね。ご兄弟で営まれているところもまた、愛おしいお店です。

そして、渋谷「羽當」。渋谷という大都会、コンクリートジャングルの中にある名喫茶店です。立地もいいので、ゆっくり気の利いた空間で過ごしたい時に、とっても重宝しています。オリジナルブレンドの味も好きなところの1つです。

ただ、本当の意味で東京で満足のいく喫茶店にまだ出会えていないので、それをずっと探して倶楽部活動をしています。

(実希 miki)

京都の「エレファントファクトリーコーヒー」。
まず、お店が見つけにくいところにあって秘密基地感があるのが好きです。深煎りのコーヒーと読書で、ここで流れる時間を楽しむのが好きです。

掲載する喫茶店はどうやって決めていますか?

その日の気分ですね。どこかに出かけた時、歩き回ったりWEBや本で調べて喫茶店を探します。偶然の出会いや、最終的には直感で決めることも多いです。看板や外観(ファサード)がよいところは、それだけで百店満点。あまり多くの人が行ってないようなひっそりと営業しているお店の方が、より気になります。

喫茶店での個人的な思い出はありますか?

(耕平 kohei)

上記の「進々堂 京大北門前」でアルバイトをしたことです。
時給も高くはなかったし、バイト同士で仲が良かったというわけでも(逆に仲が悪かったということも)なかったけれど、大学卒業までずっと働いていたのは、お店に不思議な魅力があったからだと思います。コーヒーの味は、実はそんなによく分からないけれど(!!!)、まかないで出てくる自家製のカレーはとても美味しかったです。今でも時々食べたくなって、何年かに一度京都に行った時には、カレーセットを食べるようにしています。数年ぶりにお店に行っても、外観や内装、食器まで何も変わらずそこにあることがうれしいですね。長く続いている(続くであろう)お店をバイト先に選んで良かったなと、今にして思います。

(磨理絵 marie)

金沢の「純喫茶ローレンス」。
有名なお店とは知らず、たまたま通りがかった時に看板がふと気になって、昼間に行ったにも関わらず開いていなかったんです。後日、再度チャレンジしたら開いていたものの、もう閉店の時間だからごめんなさいと。でも、写真を撮るだけならいいわよと中に誘われました。店内はまるでおとぎの国に迷い込んだかのような美しい空間で、どこを切り取っても絵になるお店でした。何より、店のおばあさまが気になる方でした。閉店時間が過ぎているのにお話が途切れず、なかなか帰れなかったことを覚えています。こんなにおしゃべりしてくれるなら、普通にお茶をさせてほしかった 笑。帰り際に窓の柵の隙間から、そっと手を振ってわたしを見送ってくださいました。個展を開催するのでまた1年後にいらっしゃいと言われましたが、結局行けませんでした。。

閉店してしまったお気に入りの喫茶店はありますか?

・近江屋洋菓子店 本郷店
ケーキ屋さんではなく、洋菓子店という名前の通り、ノスタルジックな雰囲気のお店でした。手前の販売スペースで買ったケーキを持って、奥の飲食スペースでドリンクと一緒に楽しむこともできました。(神田店はまだ営業中なので、興味のある方はぜひ行かれてみてください。)

・新宿スカラ座 新宿西口地下街
新宿駅西口の地下街の一角にあった喫茶店です。1954年に新宿歌舞伎町で開業した「名曲喫茶 新宿スカラ座」が2002年に閉店した後、2003年から新宿西口の地下街で再オープンしたそうです。灰皿やマッチ、またクラシックな印象の椅子などに当時の面影が残っていました。新宿駅に近い立地ということもあってか、待ち合わせに使う人などでにぎわっている印象でした。

どちらのお店についてもなぜ閉店したのか、詳しくは分かりません。あくまで個人的な予想ではありますが、この2店がお店を開いた頃は、コーヒーやケーキを楽しみたい時は喫茶店や洋菓子店に行くしかなかったと思います。でも、今はそれ以外にカフェやコンビニなど、たくさんの選択肢が増えました。さらに今は若い人ほど喫茶店、洋菓子店に足を運ぶことが少ないのではないでしょうか。新しいお客さんが増えない、そして古くから続いてきたお店を継ぎたいという若い人がいないことが、昔からあるお店が閉店する理由なのではと思っています。

自分自身も、新しくできたカフェやコンビニなど、よく利用していますが、古くからある喫茶店(や洋菓子店)に行ってみることで、新しい発見がありました。お店オリジナルのコースターや伝票に書かれたロゴがすごくかっこよかったり、普段接することのないような年齢層の方とお話する機会があったり、、、そういった古くからあるお店や文化がなくなってしまうのはすごく寂しいので、あまり行ったことがないという方ほど、ぜひ一度訪れてみてほしい、と思っています。

なぜ、喫茶店にもっと頻繁に訪れるべきだと思いますか?

どこにでもあるクオリティ、味、内装が均一化されたチェーンのお店では体験できない、歴史の積み重ねが喫茶店にはあります。レトロなロゴのデザインや内装など、雰囲気は似ているようで一つとして同じ場所のない「喫茶店」。だからいつも発見があるし、飽きがこないのだと思います。コーヒーの味と店の歴史と個性を楽しめる場所として、みなさんももっと喫茶店に行って欲しいと思います。

(今日のインタビュー場所でもある)純喫茶 エデンについて教えてください。

今回、Good Coffee のVaughan さんからの取材依頼だったので、洒落をきかせて「BON」という喫茶店でと思っていましたが、残念ながらタイミング合わず取材依頼ができませんでした。そこで急遽、別の喫茶店を探して、偶然見つけたお店です。

まず惹かれたのは、店内の片側半分のベロア素材の壁紙。そして、店員さんがまるでラーメンの湯切りのようにダイナミックな動きで型から外し、カレー用の大きなスプーンとともに運ばれてくる自家製の大きなプリン。そのほかは60年近く営業しているということと、当時流行ったという「エデン」という名前からとったということ以外、実はあまり知らないんです。(ジェームス・ディーン主演の映画「エデンの東」の影響だろうか。)

おそらく常連客を大切にしている、地域の人から愛されている、そんなどの街にもあるような喫茶店だと感じました。何より、あまり自分たちのことを多くを語りたがらない、その絶妙な距離感にグッときましたね。

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Interview by Vaughan (@vja)

Photography by Nik van der Giesen (@nvdg81)

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