Release Date: Feb 16, 2017
“A Film About Coffee” に続き昨年末から注目されているコーヒードキュメンタリー映画
“The Coffee Man” のDVDがついにリリースされた。
“A Film About Coffee”ではコーヒーの現状について、生産者側の様子を織り交ぜつつ、アメリカをメインにコーヒー関係者の話を積み重ねたシリアスな内容を美しい描写でまとめた作品だが、本作は社会情勢を理由にオーストラリアに移り住んだ青年が世界一のバリスタになるまでの苦悩や努力の様子を描くサクセスストーリーとなっている。
主人公は2015年のバリスタ世界大会 = WBC(World Barista Championship)に初出場・初優勝の快挙を遂げ、名実ともに世界一のバリスタとなったササ・セスティック(Sasa Sestic)氏。元オリンピック選手からバリスタ世界チャンピオンという輝かしい経歴の持ち主だが、彼の過去を振り返ると苦悩の連続だった。
ボスニア紛争によって祖国を追われ、遠くオーストラリアに辿り着いた彼が、オリンピック出場の栄光とその後の挫折の末コーヒーと出会う。
その後、コーヒーの魅力に傾倒した彼は、かつてのアスリートだった頃に戻った様に世界チャンピオンへのチャレンジを始めたのだ。
そんなチャレンジの過程で、日本人初のバリスタ世界チャンピオンである井崎英典氏 (SAMURAI COFFEE EXPERIENCE)との運命的な出会いを果たした彼は、井崎氏をトレーナーに迎え、本格的に世界チャンピオンを目指す。
コーヒー以外は摂取しない時期もあるほど、ストイックなまでに自分を追い込んだ彼は、見事2015年のバリスタ世界チャンピオンの座に輝いた。
作品全体を通して首都・キャンベラの雰囲気や彼の経営するコーヒーショップ Ona Coffee の様子、農園で鬱蒼と茂る野生のコーヒーノキ、そして貴重な世界大会の裏側や大会に使用するオーストラリア産ミルクを持ち込むスリリングな様子まで、コーヒー好きにはたまらないみどころがたくさん詰まっている本作。
これまで、バリスタのサクセスストーリーとして、世界大会に優勝してから所属店舗から独立というケースが多い印象を受ける中、既に自身のコーヒーショップ・ロースター・そして農園までをも所有するオーナー自らが世界チャンピオンに挑戦する姿というのはかなり新鮮に映る。
常に挑戦を続ける彼のコーヒーに賭ける執念はスクリーンからビシビシ伝わり、本人が抱える緊張感がこちらにも十分伝わってくる内容になっている。
昨年、豊洲のユナイテッドシネマにて1日限定で開催された上映イベントでは、Good Coffeeのメンバーも参加。
ゲストとして主人公のササ・セスティック本人とトレーナーの井崎氏、さらに会場にはコーヒーを生産する農園の方も上映会に参加。
ササ氏の印象としては、映画通りのクールでストイックな印象を受けるナイスガイだった。
上映後の質疑応答ではこれからのバリスタに向けて熱いメッセージを発信したササ氏と井崎氏、その後は両氏によるフレンドリーなトークや、当日誕生日を迎えたササへのサプライズバースデーなど、終始アットホームな雰囲気に会場は包まれた。
コーヒー愛する人や、様々な苦境の中で努力し、今まさにもがいている人にもぜひオススメしたい本作。
ぜひ、お気に入りのコーヒーを片手に、1杯のカップに情熱をかけた男の物語を観てみてはいかがでしょう？
DVD販売情報
SAMURAI COFFEE EXPERIENCE オンラインストアより絶賛発売中
SAMURAI COFFEE EXPERIENCE オンラインストア
※iTunesやVimeoでは2o17年2月時点では日本からの購入ができないため、上記DVDでのみ本作をお楽しみいただけます。
Photo&Text: Takahiro Takeuchi