Release Date: Apr 15, 2017
ロンドンっ子たちに、再びカフェインを大量摂取する機会がやってきた。世界でも最も大きいコーヒー・フェスティバルのひとつがロンドンで開催されたのだ。ヨーロッパ中のバリスタやコーヒーショップのオーナーたちが一同に介し、コーヒーカルチャーを祝う。カッピングやロースト、自宅でのコーヒーの淹れ方や美しいラテアートも学ぶことができるのだ。それに加え、世界レベルのバリスタやラテアートの達人たちの実演も見ることができる。
オーストラリアからはるばるやってきた深山晋作氏は、今回のゲストの中でも目玉の1人。彼のコーヒーの世界での旅は4年前、オーストラリアで最も有名なスペシャルティ・コーヒーショップである「ST ALi (セイント・アリ)」から始まった。その彼が、今ではラテアートの世界チャンピオンとして知られている。深山氏はオーストラリアでのラテアートの大会で2位の座を手にした後、すぐにロンドンへと飛んだ。
ロンドン・コーヒー・フェスティバルでのラテアートの実演では、フリーハンドでのオリジナルのデザインを披露し観客を沸かせていた。猿や宇宙飛行士、船などのデザインだ。獲得してきた数々の賞やその才能は多くの人に知られているものの、ロンドンでの反響の大きさには驚いたと自身は語る。「実演を始める前に『僕のことを知っている人は手を上げて』と言ってみたら、全員が手を上げてくれたんです。本当に嬉しかった。とても幸せなことですね」
もっと深い話をしたいと、深山氏と腰を据えて話をしたことがある。コーヒーとラテアートの達人になるということについてだ。もちろん、技術は必要不可欠だが、深山氏はバリスタのパーソナリティーと、その根気強さの重要性を強調していた。「毎日毎日、集中して練習することがとても大切なんです」彼のコーヒーショップは「恐ろしく忙しい」ため、1日1,000杯はコーヒーを淹れているという。それでも、閉店後の練習は欠かさない。
大会となると、精神面の強さが最も重要だ。「すばらしい技術を持ったバリスタたちをたくさん知っていますが、ステージに立つと緊張のせいで実力を出し切れない、というケースを多く見てきました。そこで私は、技術的なトレーニングに加えて精神面も鍛えるようにしています」深山氏はST ALiで働く前チャンピオンのベン・モロー氏に、ステージでの精神面のコントロール方法を尋ねたという。「すべてを教えてくれました。ラテアートのやり方から、精神面のコントロールの方法、そして、どうすれば優勝できるのかということを」
そんな深山氏も、緊張したことがまったくないという訳ではない。初めての大会参加の時は練習を始めてからたった3ヶ月しか経っていなかったため、やはり緊張してしまったという。しかし今や、ステージ上ではとても落ち着いていて、緊張とは無縁といえる。精神面を鍛えるため、深山氏は毎日の生活の中でも精神のバランスを大切にしていると言う。コーヒーを淹れていない時は、瞑想したり、ランニングをしたり、ジムのプールにも通っている。
そんな彼の今後の計画とは?「ラテアートを教えるのが好きなので、自分のスキルを伝えていきたいと思っています。今年の9月にニューヨークで開催される大会『コーヒー・マスターズ』にも参加を予定しています。コーヒーの知識とコミュニケーション能力も得られますからね」
このフェスティバルの後、深山氏は自身のすばらしい技術を披露するため、また別のラテアートのショーへと直行した。一方、私はロンドンの最新のコーヒーシーンを見て回っていた。今年のコーヒー・フェスティバルには地方から多くの新顔ロースターが参加している。ブライトンの「Redroaster Coffee」やノッティンガムの「Outpost Coffee Roasters」などだ。最近はフィルターコーヒーの人気が上がってきているものの、やはり話題は様々なミルクを使ったラテだ。アーモンドミルクや豆乳、オートミルクなど、ミルクの種類は多岐に渡る。中でもロンドンで特に人気を得たのは、ココナッツ・ラテだろう。あるコーヒーショップでは、水ではなくココナッツ・ウォーターでのブリューイングを勧めていた。実験好きなコーヒーギークは試す価値があるかもしれない。
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Translation by Aoi Nameraishi
AUTHOR
_audrey
Audrey Fiodorenko is a lifestyle blogger and a journalist with a quest for a perfect cup of coffee and unique atmosphere. You can usually find her in London and Japan or somewhere in between.