Release Date: Feb 14, 2015
ジャパンエアロプレスチャンピオンシップレポート
エアロプレスチャンピオンシップについて
フリスビーメーカーの米エアロビー社のアラン氏が2005年に開発したコーヒー抽出器具エアロプレス。
2008年にTim Wendelboeの店でエアロプレス大会がスタートし、2年後の2010年、ワールドバリスタチャンピオンシップ(WBC)ロンドン大会の会場前でエアロプレス大会を開催。
ロンドン大会の際に当時WBCボランティアスタッフとして参加していたマンリーコーヒー須永紀子氏が感銘を受け、 翌年2011年イタリア・ミラノで開催されたワールドエアロプレスチャンピオンシップ(WAC)に出場。
その後、翌2012年から現在まで福岡・東京・鎌倉と毎年ジャパンエアロプレスチャンピオンシップ(JAC)を主催。
2014年イタリア・リミニ大会にて過去2回チャンピオンに輝いたベルギーのJeff Verellenを破って、見事東京・ポールバセット佐々木修一氏が日本人初チャンピオンの快挙を達成。
エアロプレス大会のルールはとてもシンプルで、プレゼンテーション不要の抽出のみ、1つのカップのみを提供する8分1本勝負。 ワタル株式会社提供コロンビアのマイクロロット ” Cecilia Cangrejo ” をフグレンロースターが焙煎した同じ豆を使って一番おいしくコーヒーを抽出できた人が勝ち抜ける形になります。
会場に到着すると既に準備とリハーサルが始まっており、慌ただしい雰囲気
今回の会場は、大阪にあるタカムラワイン&コーヒーロースターズ2Fの特設会場。
開会前の会場には早くもスタッフ・ジャッジ・選手の方が到着しており、皆さん設営や各自の準備を行っていました。
イメージトレーニングや、レシピの再確認など準備を進める選手達からは緊張感が伝わってきます。
各選手のリハーサルも終わり開会の挨拶へ
開会の挨拶をする、福岡・マンリーコーヒーの須永氏。
ジャッジを務めるのは下記の4名
- ヘッドジャッジ:小島賢治氏 (フグレントウキョウ)
- ジャッジ:栗山 尚大氏 (タカムラ ワイン&コーヒーロースターズ)
- ジャッジ:小池美枝子氏 (コーヒーハウス とむとむ)
- ジャッジ:佐々木修一氏 (ポールバセット)
※ジャッジ以下は50音順となります。
日本一を決める戦いがついに幕開け
緊張した面持ちで競技開始!
豆の種類・焙煎はすべて共通の条件となり、引き目・お湯の温度・抽出方法を工夫して競います
毎年必ず、奇抜な抽出方法で競技される選手が出てくるのもこの大会の面白い所。
まさにおいしく抽出するなら何でもありな状態になっていました。
選手が創り上げたドリンクはジャッジの元へ
カッピングスタイルで、各カップをチェックするジャッジの皆様。 ジャッジの制限時間は3分間でスピーディーに判断しなければなりません。
コーヒーの濃度をアタゴ社の濃度計 PAL-COFFEEにて計測するヘッドジャッジの小島氏。
3分後、3人同時に良かったカップを指差しします。 評価が同点の場合、ヘッドジャッジの評価が優先されます。
選ばれたカップの裏に選手のエントリー番号が記載されており、それを読み上げて勝者が決定します。
競技者が作ったドリンクは、ジャッジ後に一般の観覧者の方もカッピングする事が可能でした。
グループ戦を勝ち残った選手がセミファイナルへ出場
セミファイナル出場者は以下の6名が通過
- Aグループ 永山祐子氏
- Bグループ 粕谷哲氏 (コーヒーファクトリー)
- Cグループ 近藤彰氏 (カリオモンズコーヒーロースター)
- Dグループ 橋本貴弥氏 (オニバスコーヒー)
- Eグループ 肥田康平氏
- Fグループ 井上暁文氏 (ブランジェリーアンドカフェグゥ)
1回戦突破組のピリリとした競技の雰囲気
ファイナリストを決める緊張の一瞬
セミファイナルに伴い、ジャッジブースも正面に変更
競技者を特定されない様、コーヒーをシャッフルするトランクコーヒーの鈴木氏
真剣な表情で、味のチェックを行うジャッジ
初戦と同じ、3人同時の指差しで勝者を決定
勝者にはヘッドジャッジ小島氏による挙手で決定
そしていよいよ日本一を決めるファイナルへ・・・
ファイナル出場者は以下の3名が通過
- Bグループ 粕谷哲氏 (コーヒーファクトリー)
- Cグループ 近藤彰氏 (カリオモンズコーヒーロースター)
- Eグループ 肥田康平氏
真剣な表情で淡々と競技に向かう選手達
そしていよいよ、2015年の日本一が決まる
今年の日本一が決まってしまう重要なジャッジに慎重に味を取るジャッジ
一番票(指差し)の多いカップが優勝
結果は、2-1 で別れ、1発で順位が決まりました。
ヘッドジャッジ小島氏から優しいハグがあった選手が優勝者に・・
優勝して喜ぶ粕谷氏
トロフィーを片手に喜ぶファイナリストに選ばれた選手達
後で伺った話ですが、昨年のワールドチャンピオン佐々木修一氏の影響か、ソフトなロングプレスで抽出する選手が多かったそうです。
エアロプレス自体の歴史が浅いため、まだまだ発見されてない抽出方法が存在する器具ですが、派手な手法での抽出ではなく、 一見何の変哲もないが、豆に合わせてレシピ自体を考え抜いた抽出の様子がファイナリストに共通しており印象的でした。
各ジャッジの審議のポイントについて
最後に主催の須永氏から今回のジャッジのポイントについて各ジャッジへのインタビューがありました。
どのジャッジも世界基準の舌を持っている方の為、非常に参考になる審議ポイントのコメントでした。
- 小島氏・・・過抽出になっていて、不要な味が出ていないか
- 栗山氏・・・味のバランスが取れているか
- 小池氏・・・この味が世界に通用するかどうか
- 佐々木氏・・・バランスを重視だが、オフフレーバーがどれだけ出ていないか
最後に
Good Coffee としてこういった大会のレポートは初の試みだったのですが、実際に足を運ぶと会場の熱気や雰囲気、また勝った選手の喜びの声と負けた選手の残念な顔を実際に感じる事ができ、コーヒーに携わる人たちの熱に飲み込まれる気がしました。
まだまだ小さいメディアなのですが、微力ながらも日本のコーヒーシーンの底上げに少しでも貢献できる様になっていかないと感じました。
これからも Good Coffee を宜しくお願いします。
ファイナリストの紹介
見事優勝に輝いた茨城・コーヒーファクトリーの粕谷 哲氏
授賞式後のヒーローインタビューでは。
大会に出ると店を休まないといけず、いつものお客様にコーヒーを入れてあげる事ができないのですが、それでも大会に出るのはお客さんに「日本一の人にコーヒーを淹れてもらっている」と言ってもらえる事が夢だったので、それを目指して出場しました。
今日その夢がかなった事を嬉しく思っています。
と語って頂いたのが印象的でした。
店舗情報
- COFFEE FACTORY
- 茨城県つくば市千現3丁目13-1 (つくば店)
- http://coffeefactory.jp
準優勝に輝いた肥田 康平氏
惜しくも3位に入賞した長崎・カリオモンズコーヒーロースターの近藤 彰氏
店舗情報
- Kariomons Coffee Roaster
- 長崎県西彼杵郡時津町左底郷297-3
- http://www.kariomons.com
皆さん、とてもやりきった表情でいい笑顔で写真に写って頂きました。
本当におめでとうございます!
次のページからは大会のギャラリーを用意しましたのでご覧ください!(つづく)