SAYONARA, OMOTESANDO KOFFEE 國友栄一氏スペシャルインタビュー

SAYONARA, OMOTESANDO KOFFEE 國友栄一氏スペシャルインタビュー

SAYONARA, OMOTESANDO KOFFEE 國友栄一氏スペシャルインタビュー

Release Date: Dec 4, 2015

GC: ちなみに今後の日本での展開は…どうお考えですか?

K: もちろん、いい場所が見つかればすぐにでも再開したいと考えています。現在も虎ノ門にはありますが、自分たちの思いを表現できる範囲で、どこでも飲めるではなく、あそこにいかなければ飲めない貴重なお店としてやっていきたいと思っています。あくまでも職人として表現できる場が必要ですので、海外も広げていきますが、国内にもつくっていく予定です。

 

GC: 必ず戻ってきていただけるということですね。安心しました(笑)嬉しいですし、楽しみです!海外でやってみたいその理由は具体的になぜなんですか?

K: 今うちにいるバリスタの活躍する場所を世界に広げていきたいからです。お金儲けではなく、これまで一緒に頑張ってくれているうちのバリスタの幸せのために、僕が彼らの価値が上がる職場をつくっていかなければいけないと考えています。バリスタという職業でも年の3分の1は外国で働いているって、夢広がりますよね(笑)

バリスタという職業は今、派手に見られがちですが、自分の10年後に不安を感じている人も実際多いと思います。その中で、独立を考え準備するバリスタも増えていますが、独立するって本当に大変なんです。だからこそ僕は、オーナーである人が、独立しなくてもこの店で働きたい。ここのブランドをつくりたいとバリスタに思ってもらえるような環境をつくっていかなければいけないと考えています。それがいま進めているプロジェクトの意味です。

将来は、現地のロースターとも組んで、このバリスタがブレンドしたら、こうなる。そんなことがやっていけたらと思っています。みんなの持っている良いものをうまく引き出しながら、この世の中で生きていくための方法を考えなければいけないと思っています。

そのためには、世界中の多くの人にとってのストライクになることをやっていかなければいけないし、それがマスに落とし込み過ぎでカッコ悪くみえるかもしれないけど、それはあえて落とし込んでいるだけで、自分たちは分かった上であえてそれをやっている。とんがったことをやろうとしたらできるけど、そこに辿り着くには、十分な時間と過程が必要なんです。不安もあるけど、着実に上っていかなければいけないし、そのために一段ずつ信じてやっていくのみだと思います。

 

GC: 先を見通した準備があったからこそ、一段ずつ着実に上っていけるのですね。そしてそこには決してブレないOMOTESANDO KOFFEEのオリジナルという武器=強みがあるからできることなんですね。

K: ここにお店をオープンする時から、建物構造上、1年間という期間限定の予定でスタートしました。この建物が取り壊しになることは初めからわかっていたことなんです。

GC: あ、そうだったんですか!当初は1年だったんですね!

K: それがやっていくうちに世界各国からお客様がきてくださる店になっていき、大家さんからもこんな風に使ってくれるならもう少しやっていいよということで、延長延長をしていただいて…早5年です(笑)

愛着があるからこそこの店を閉めることは、僕たちとしてもとても残念。でもいよいよこの時がきたなということで、これを機に新しいステップにいくタイミングでもある。その流れとして次が香港。時間軸がばらばらのようで実は整っているんです。これも悩みに悩んだ末の自分たちの生きる道で、ブランディングの仕方でもあります。

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GC: きたるべき時に備えて集中力と準備されていたからこそ、今回次の展開をスムーズにできたということですね。

K: 期間限定のオープンとわかっていたからこそ、次の動きをしながらここを営業していました。お金が貯まったら何かしようではもう遅いんですね。

OMOTESANDO KOFFEEオープン当初は、僕一人で10ヶ月間休みなしでやっていました。それは自分でお客さんに伝える方が楽だったからです。お店のスタッフが来れなくなった時に次の日から店が開けないなんてダメで、だから常に自分のできる範囲でしかやらないスタイルでした。

ここをやりながら虎ノ門ができて、虎ノ門で育ったスタッフがここにくる、それでサービスの温度間、素材のこととかを共有する。そのステップを踏んで次は香港に。自分の計画というよりも、今いるスタッフに見せてあげないと、毎日続けてどうするんだという不安になる。そうではなくて、ここで頑張ったらあれがある。ああなりたい。そういう明確な時間軸と明確なビジョンをみせないと、なかなかついてきてくれないんです。

 

GC:  OMOTESANDO KOFFEEの歴史、そして今後まだまだ続く未来があるんですね。原点ともいえる場所がなくなってしまう事実はあっても、その想いや味は多くの人の心に残り続けますね。

K: ここが終わることは寂しいけど、ある意味清々しい気持ちです。ここまでコーヒーシーンにOMOTESANDO KOFFEEという名前が広まったことが幸せだし、二度と会わない地球の裏側の人の記憶に残っていることが、味をつくっていく人間として何よりも幸せです。一番の財産です。ピークで終わりを迎えられることも中々できない経験だし、これがまた今までここに足を運んでいただいた方への揺るぎない思い出になってくれたら嬉しいです。あそこの味が忘れられないなって。

ただこの終わり方は、次のハードルはちょー上がる(笑)。この建物を建て直したあとにまたこの地でということも選択肢になかった訳ではありませんが、再現は絶対できないと思いました。それなら潔く一回終わらせる。そしてまた違う新しい表現の場をつくろうと。なのでみなさんその時はまたいらしてください。僕たちはひとまず香港にいきます。

コーヒーショップの展開と他にもビジョンがあるので、お客様の期待を裏切らない次の一歩を今後も考え僕たちは変化し続けていきます。

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GC: 本日は長時間本当にありがとうございました。表参道店の残りの1ヶ月、香港へのご準備、色々とお忙しいかと思いますが、OMOTESANDO KOFFEEのさらなる進化を楽しみにしております!!

 

Photos by Nik van der Giesen

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