イベントリポート:世界一のコーヒーを学ぶ会 with 2016 World Brewers Cup Champion

イベントリポート:世界一のコーヒーを学ぶ会 with 2016 World Brewers Cup Champion

イベントリポート:世界一のコーヒーを学ぶ会 with 2016 World Brewers Cup Champion

Release Date: Aug 10, 2016

イベント中の質疑応答

イベント中は様々な質問が飛び交ったので、それぞれの質問と回答はこちらにまとめた。

 

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Q 投入湯温は何度ですか、またその湯温の理由はありますか?

投入時は92℃。十分検証していないのでまだ議論できる余地はあると考えています。

競技に使用した豆は高品質で極浅煎り、とにかく成分を全部抽出する必要があったので熱湯が好ましいと思いました。ただ、こういう豆は独特なネガティブフレーバーが出てしまうため、それらが目立たなくなる58℃に冷ましてジャッジに提供する必要があり、結果としてコーヒーを冷ますまでの一連の動きを逆算すると92℃にする必要がありました。

 

Q 世界大会への準備はどんな優先順位でおこないましたか?

オフフレーバーを出さない為に、荒く挽いて抽出するのですが、それをどこまで濃く出せるかという部分を検証する事に時間を使いました。普通は荒く挽いたら粉を多くして濃くすると考えるが、そうすると収率が適正範囲から外れてしまうので、いかにして46メソッドで適正収率に合わせられるかの検証が再優先でした。

 

Q オフフレーバーを出さない事以外に、荒く挽くことにした理由はなんですか?

クリーンな味わいが欲しかったためです。荒く挽くと明るい酸味やフレーバーが出てきて、後味が長く続くと考えています。

 

Q 46メソッドはどんな豆にも対応できますか?

大会で淹れた方法をそのまま適用すると、今の日本の焙煎度からすると濃く出てしまいますので、後半60%の投入回数を減らして薄く出すか、挽き目をもっと荒くする必要があります。

 

Q 競技中にTDSで測った数値とプレゼンで明言した値が一致する必要がありますか?

ジャッジがTDSの値をチェックするわけではないので、評価対象にはなりません。

競技中の所作は一貫している必要があるので、同じ淹れ方をしたコーヒーの濃度が同じか自分でチェックするために使いました。ただ、同じ数値でもスケールの数値はジャッジがチェックしにくるので気をつけました。

 

Q 低い温度で提供しても、アロマの評価に影響はないですか?

競技に使用した豆自体に強いアロマがあるため、影響は少なかったと思いますし、今回の大会では酸味、ボディ、バランスのスコアが他に比べて2倍の項目だったため、影響は無いと判断しました。

 

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Q 大会で新しく使うグラインダーの挽き目調整はどうするか?

普段使っているグラインダーで挽いた豆を大会に持っていって目視で調整しますが、同じ挽き目で味が変わってしまった時にはTDSが役に立ちます。

ただ、必修サービスはとくにかく調整の時間が無いので100点を狙うとブレやすいです。なので目視の調整でも80点を狙っていけるよう、調整が少なくてすむ様なレシピ作りが勝負になります。

 

Q 微粉を取り除くパウダーコントロールについてどう考えますか?

微粉がないとキレが良いコーヒーになると考えています。

ただ、大会でパウダーコントロールを行わなかった理由としては挽いた豆が酸素に触れてアロマが無くなるのを防ぐため。ただ、コントロールをすることで味にポジティブな影響があるのは間違いないので、どのポイントを狙いたいかで必要性が変わってくると思います。

 

Q シルバースキンがある場合はどうしていますか?

普段シルバースキンは取り除くようにしていますし、めちゃくちゃうまいです。笑
ただ、大会で大事なのは一貫性を持たせる事が大切なので、同じ方法で同じだけ除去できないとすると味がブレる原因になると考えています。

また、オープンサービスの時はグラインダーにEK43を使うのに加えて、46メソッドだとそれらが抽出時に浮いてくるので影響は少ないと判断して除去をしなかったです。

 

Q 世界大会と日本大会で出す味が同じでも同じ評価はされますか?

重要なのはプレゼンテーションだと考えています。これまでにない美味しいコーヒーであるという事を様々な合理的な理由で説明すると伝わるのではないでしょうか。

ただ、当然両者はジャッジが違うのでまったく同じ評価にはなりません。あくまでそれぞれの大会に勝てる味に調整することが大切だと思います。

 

Q 浅煎りの豆を使うとスプーンで攪拌する事が多いのですがやらないのですか?

46メソッドではお湯の勢いで攪拌しているのでやっていません。また、今回のファイナリストは全員、浅煎りでもスプーンでの攪拌はやっていなかったですね。

 

Q 1回の注ぐ量が少ないのになぜV60の02ドリッパーなのでしょうか?

ドリッパーの選定の際に参考にしたのが、過去の世界チャンピオンだったのですがなぜか02ドリッパーだったので検証したのですが、なぜか01よりも02の方が抽出時間がかかり、濃く抽出されたので02にしました。それに、抽出の冷却時に中身を気にせずグルグル回すため、大きめの02のサーバーを使う必要があったのも理由です。

 

Q いつ世界チャンピオンになろうと決めたんですか?

2年前の3月、ホンデュラス、グァテマラに行った時ですね。

実際に生産者に会った時に、バリスタとしての役目を見直したのがきっかけです。彼らの仕事を評価し、彼らの生産する豆に敬意を払って抽出をする必要があると感じました。そして、そんな彼らの背景を伝えるためには、自分が有名になる必要があったし、有名になるのは大会で勝つ事だと思ったからです。

 

Q 世界チャンピオンになったと思いますが、今後はどうする予定ですか?

当初はイギリスで働く予定だったんですが、もっと日本のレベルを上げる為に貢献したいと思い、日本を拠点にする事にしました。例えばこういったセミナーを都市部だけでなく、地方にも広げていったり、日本人をもう一度世界一にするため、トレーナーとして携わりたいです。

日本をもっといいコーヒー文化にする為、色々と貢献したいと考えています。

 

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最後に

合計3時間となる長丁場のイベントだったのにもかかわらず、具体的な勝ち方の説明や大会の解説、ドリップ実演など様々なアジェンダが用意されていたため、あっという間に終わってしまった印象をうけました。

世界で勝つために必要な考え方や取り組み方を十二分に公開していただいたような、とても貴重なイベントになったと感じています。

これからも、粕谷哲さんの活躍に期待すると共に、次のチャンピオンが日本から輩出されるのをGood Coffeeとしても追いかけていきたいと思います。

 

イベント情報

 

(最終ページ:46メソッドのまとめ&フォトギャラリー)

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